開催レポート 第5回「物流部会」開催
物流革新への羅針盤:第5回物流部会が示す未来と提言
開催概要
■ 開催概要
日時: 2026年7月8日(水) 15:00~18:00
会場: ワークスタイリング大手町
(東京都千代田区大手町1-2-1 Otemachi Oneタワー6階 )
■ テーマ
情報提供テーマ: CLOを起点とした経営意思決定と物流戦略の実践
登壇者: 経済産業省 商務・サービスグループ 物流企画室 流通専門官 新井 和樹 様
情報提供テーマ: CLO設置義務化に伴う課題と富士通の支援について
登壇者: 富士通株式会社 モビリティ事業本部 戦略推進統括部 知念 優実
情報提供テーマ: 鉄道モーダルシフトとPIの融合:パレット便/ハイブリット便
登壇者: 日本貨物鉄道株式会社 取締役 兼 常務執行役員 関東支社長 篠部 武嗣 様
テーブルディスカッション
テーマ: CLO時代において、荷主企業・物流事業者はどのような役割を果たすべきか
荷主企業と物流事業者は、物流最適化やCLO推進に向けてどのように連携すべきか
モーダルシフト、共同配送含めたサプライチェーンはどのように強化していくべきか
内容紹介
今回のポイント
CLOは物流部門だけでなく、経営を担う役割として期待されている
物流2024年問題は企業単独ではなく企業間連携で解決する時代へ
JR貨物様のモーダルシフトや共同輸送など最新事例を紹介
フィジカルインターネット実現に向けた取組を学んだ
1. 現代物流の課題とCLOの新たな役割
部会冒頭では、経済産業省および富士通株式会社からの情報提供を通じて、2026年4月より特定荷主に義務付けられるCLO設置の背景とその重要性が深く掘り下げられました。
CLO設置義務化の背景と役割の変革
2024年6月に施行された法改正により、CLOは単なる法規対応の枠を超え、サプライチェーン全体の最適化を牽引する「経営アジェンダ」として位置づけられます。その役割は多岐にわたり、物流関連法規の遵守から、輸送キャパシティの確保、労働時間規制への対応、社内外の連携強化、そして物流DXの推進まで、広範な責任が求められます。
CSCOとの連携で実現する全体最適
CLOは、サプライチェーン全体を統括するCSCO(Chief Supply Chain Officer)と連携し、特に物流領域における専門性と実行力を発揮します。データ活用、SCM最適化、組織・企業間連携の壁といった、現在多くの企業が抱える物流課題に対し、CLOが中心的な役割を果たすことで、コスト削減のみならず、事業価値向上に貢献する可能性が示されました。
2026年4月から本格施行されるCLO(物流統括管理者)制度では、物流部門だけでなく、サプライチェーン全体を最適化する経営視点が求められます。物流コストだけでなく、在庫・生産・販売を含めた経営判断を担う役割として期待されていることが紹介されました。
また富士通からはサプライチェーン全体のデータを可視化し、物流・調達・在庫を最適化することで、物流部門だけではなく経営全体を支えるDXの重要性について紹介されました。
2. 日本貨物鉄道株式会社様が示す鉄道モーダルシフトの可能性と新モデル
日本貨物鉄道株式会社(以降JR貨物様)の篠部武嗣様からは、「鉄道モーダルシフトとPI(フィジカルインターネット)の融合」と題し、JR貨物様が推進する革新的な取り組みが紹介されました。
社会課題解決への貢献者としての鉄道貨物輸送
JR貨物様は、高い労働生産性(運転士1人でトラック65台分を輸送)、CO2排出量の少なさ(トラックの約1/10)、そして中長距離輸送における圧倒的な優位性を活かし、「2024年問題」のドライバー不足緩和、カーボンニュートラルの実現、そして災害に強い社会を支える「基幹的鉄道ネットワークの維持」に不可欠な存在であることがお話しされました。
革新的な新サービス「パレットJR便」
中小ロットの貨物輸送を可能にする「パレットJR便」は、JR貨物様の既存リソース(回送コンテナ)と共同物流事業者を繋ぐことで、パレット単位での輸送を実現する画期的なサービスです。これにより、これまで鉄道輸送が難しかった領域にもモーダルシフトを拡大し、トラック事業者の生産性向上、荷役時間短縮といった多方面での効果が期待されていることなどが共有されました。
持続可能な物流を支える「トラック・鉄道ハイブリッド連携」
平常時の効率化だけでなく、災害時にも安定した輸送を確保するための「トラック・鉄道ハイブリッド連携」は、BCP(事業継続計画)強化の観点からも大きな注目を集めました。JR貨物様は、この連携を通じて、物流コスト上昇を抑制し、低炭素で効率的な輸送モードの創出・拡大を目指していらっしゃることなどがお話しされました。
さらに、共同配送を支える「ReDesign」の取組や、コンテナ・パレットの標準化、デジタル技術を活用した物流最適化など、フィジカルインターネット実現に向けた最新の取組についても紹介されました。
3. 活発な議論と連携への期待
講演後参加者同士の活発なテーブルディスカッションが行われ、以下のような洞察が得られました。
参加者の高い関心と具体的な課題意識
多くの参加者様が「CLO義務化の背景」や「JR貨物様の取組事例」、「モーダルシフトの考え方」に強い関心を示しました。ディスカッションの中では、「鉄道輸送の経路探索プラットフォームの必要性」や「CO2排出量の少なさ」の魅力が語られる一方で、現状の課題として、「JR貨物を活用していない実態」や「納期や運送業者のマインド変革の必要性」も率直に共有されました。
「他社連携」が解決の鍵
「他社連携/共同配送」や「データ連携/標準化」に対する高い期待が明らかになりました。参加者は、これらの連携を通じて、共同配送、データ共有、標準化、モーダルシフト、環境対応といったテーマにおいて、ビジネス連携による効率化、コストダウン、さらには新しいビジネスの共創に可能性を感じています。
コミュニティ活動への前向きな意向
多くの参加者がコミュニティの価値を高く評価し、「積極的に協力したい」「具体的な相談・情報交換を進めたい」と回答。特に「生成AIの業務活用事例」「会員企業同士の具体的な成功・失敗事例共有」「異業種マッチング・ビジネス創出の場提供」など、実践的かつ未来志向のテーマへの要望が多数寄せられました。
参加企業からは、企業単独では解決できない物流課題や共同配送、荷主連携の進め方、CLOに期待される役割などについて活発な意見交換が行われました。異業種の取組を共有することで、自社の物流戦略を考える機会となりました。
まとめ
第5回物流部会は、物流2024年問題への対応には企業単独での改善だけではなく、荷主・物流事業者・行政が連携することの重要性が改めて共有されました。また、CLOを中心とした経営視点で物流を捉えることが、持続可能な物流の実現につながることが確認されました。
今回の物流部会で得られたこと
物流2024年度問題への理解が深まった
CLOの役割を具体的にイメージ出来た
物流改革の最新事例を知ることができた
他社の取り組みから自社へのヒントを得られた
企業間連携の重要性を再確認した
本部会で示されたCLOやJR貨物の取り組みは、単一企業では解決が困難な物流課題に対し、業界内外の連携とテクノロジーの活用が不可欠であることを明確に示しています。参加者の皆様からは、具体的な共同プロジェクトや実証実験への期待も高く、「FUJITSUユーザーコミュニティ」は、今後もこのような実践的な議論の場を提供し、会員企業の成長と社会全体の持続可能な物流システムの構築に貢献し続けてまいります。
